人口3400人、小さなまち磐梯町がなぜDXに本気になるのか? 〜DX戦略第1期目2020年度の振り返り〜
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人口3400人、小さなまち磐梯町がなぜDXに本気になるのか? 〜DX戦略第1期目2020年度の振り返り〜

磐梯町DX戦略室、DX推進プロジェクトマネージャーの星です。
今回は、そもそもなぜ磐梯町がDXに取り組むのか、その背景と、デジタル変革戦略を掲げた1年目のアクションについて振り返ります。

そもそも、デジタル変革とは?

磐梯町ではデジタル変革を以下のように定義しています。

DX=Digital Transformation
自治体がデジタル技術も活用して、住民本位の行政、地域、社会を実現するプロセス。

ポイントは「デジタル技術『も』」となっているところです。
磐梯町は全てをデジタル技術に置き換えるのではなく、アナログも、デジタルもあくまで手段であり、住民本位で最適なアプローチをはかることが重要だと考えています。

注意!)
磐梯町では、業務効率化、省人化、コスト削減を主目的とするICT化と、町民本位の行政、地域、社会の実現を主目的とするデジタル変革を、明確に区別して用いています。

磐梯町がデジタル化を進める3つの理由

①デジタル化はまちの将来を救う
②デジタル共生社会の実現
③先行者利益の確保

①と②は町民を誰一人取り残さない共生社会の実現/個別最適化に向けた地域課題の解決にはデジタル化が不可欠であると考えたため。
③国も2021年秋にデジタル庁を発足させる見込みですが、先行して取り組んでいる地域はまだ多くありませんでした。企業もテクノロジーを活用した新たな新規事業を考える中で、自治体との協働を求めるニーズもあり、先行して取り組むことで、企業や人材の呼び込むことができると考えたため。

この3つの理由から、磐梯町では全国の自治体で初めて、最高デジタル責任者=CDOを設置し、本気でDX戦略に注力することになりました。

磐梯町がなぜ全国に先駆けて、本気でDXに注力する背景

磐梯町がDXに取り組む理由は、「誰もが自分らしく生きられる共生社会」というミッションと、「自分たちの子や孫たちが暮らし続けたい魅力あるまちづくり」というビジョンを実現するためです。
日本の多くの自治体がそうであるように、磐梯町も少子高齢化、地域経済の停滞等、様々な課題に直面しています。
昭和20-30年代には、8,000人近くいた人口も、約60年で半減し、現在は約3,400人ほどになっています。平成27年度(2015年度)磐梯町人口ビジョンでは、20年後には人口が2,000人台に突入すると予測されています。

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 しかし、これらの課題を解決し、価値を創造し、新しい世界観を構築するためには、国等からやってくる「ヒト・モノ・カネ」に大きく依存した地域経営のあり方では限界があります。そこで、近年一般化しているデジタル技術を手段として活用することで、町民本位の新しい行政経営のモデルを実践していく必要があると考え、DX戦略を掲げています。

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磐梯町の「行政のDX」のプロセス

磐梯町のDXは下記のようなスケジュールで進めていきました。
まずは最高デジタル責任者を設置できるように、アドバイザーを設置しました。その後、まずは職員の皆さんに理解してもらうために、幹部職員向け、一般職員向けにそれぞれ研修の機会を設けました。
一定の理解をしてもらった上で、行政のDXの推進のパートナーとなる企業と包括連携協定を締結しつつ、デジタル変革戦略の策定、デジタル変革戦略室の立ち上げを行っています。

2019年
6⽉ 佐藤が磐梯町⻑に初当選。
9⽉ 磐梯町9⽉定例議会会所信表明において、町⻑が最⾼デジタル責任者(CDO=Chief Digital Officer)の設置を表明。
10⽉ ⼀般社団法⼈Publitech代表理事の菅原直敏⽒が磐梯町町政アドバイザーに就任(設置根拠:磐梯町町政アドバイザー設置要綱)。磐梯町議会全員協議会にて、CDO設置についての説明を⾏い同意を得る。
11⽉ 菅原直敏⽒が磐梯町最⾼デジタル責任者(CDO)に就任(設置根拠:磐梯町最⾼デジタル責任者(CDO)設置要綱)。各課の最年少職員で構成される窓⼝改⾰プロジェクトが推進⺟体となる。
2020年
1⽉ 全職員へのデジタル変⾰初期研修が終了。(幹部向け、一般職員向け研修に分けて実施)
2⽉ 磐梯町総合計画審議会にて、「磐梯町総合計画(案)」が審議される。同案の「共⽣社会・デジタル変⾰」の項⽬に「(仮称)デジタル変⾰戦略室の設置」を明記。
3⽉ 「磐梯町課設置条例を改正する条例案」と「磐梯町総合計画案」が、令和2年度第1回定例会に上程。
4⽉ DX変⾰室準備プロジェクトがスタートし、磐梯町渋⾕共創拠点の運用を開始。コニカミノルタと行政事務効率化に関する包括連携協定を締結。
6⽉ 「磐梯町⾏政組織規則」を改正し、DX戦略室の所掌事務が決定。併せて「磐梯町第1期デジタル変革戦略」を策定。 東京インタープレイとペーパーレス化に関する包括連携協定を締結。
7⽉ デジタル変⾰戦略室を設置。 渋谷官民共創拠点・デジタル変革戦略室開設オンラインイベントを開催。渋谷スクランブルスクエアおよびPublic dots &Companyとの関係人口創出・地方創生に関する包括連携協定を締結。

議会のDX

並行して、磐梯町は「議会のDX」についても取り組みました。
自治体運営・執行は磐梯町役場が行うものの、磐梯町で意思決定を行う場合には議会の承認が不可欠です。そこで、町議員の皆さんに説明し、デジタルを実際に体験し、ご理解いただく機会などを設けました。
→「議会のDX」の詳細は、今後のnoteで発信予定!

組織改革

磐梯町は2020年7月1日にデジタル変革戦略室を設置しました。
これまで磐梯町は縦割りで各課が個別にテーマごとの課題に取り組んできましたが、デジタル変革戦略室は専任の職員だけでなく、各課からも若手職員が「デジタル活用推進員」として兼務し、全庁的に総合的に課題を解決できるような体制を整えました。
<これまでの組織>

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<DX戦略を踏まえた、現在の組織>

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それだけでなく、DX戦略室には地域起こし協力隊制度や地域起こし企業人制度等を活用し、専門性を活かした複業人材も活躍しています。

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戦略のポイント

磐梯町デジタル変革戦略は磐梯町総合計画に基づいて策定されています。
ポイントは大きく3つ。

・OODA Loopの採用
本戦略では、「OODA Loop」的な手法を用いて運用します。DXの推進には、不確実な要素が多く、迅速性が要求されるため、従来の行政計画に用いられる「PDCAサイクル」は戦略遂行に適さないためです。
・選択的戦略
本戦略は総合的ですが、網羅的ではありません。磐梯町の人的、物的・経済的資源は限られているので、戦略の優先順位を検討し、選択的戦略として運用します。
・可変的戦略
本戦略は、様々な状況変化に対応する可変的戦略です。ただし、戦略の変更は議会への報告・説明を経たのちに行うこととします。なお、この戦略の下位に戦術が位置しており、戦術は行政が判断し、その時々、最も適切な手法を用います。

※戦略策定のポイントについては次回のnoteの記事、佐藤町長と菅原CDOの対談で触れていきますのでぜひご覧ください!

また、職員の行動指針も明確し、プロジェクトを進める上で立ち返るためのガイドラインを定めています。

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それを踏まえ、デジタル変革戦略第1期で重点的に取り組んできた項目は大きく6つです。

1.ICT活用による子育て環境の充実
2.AIスピーカーによる高齢者支援
3.オンライン町政報告会の実施
4.磐梯町渋谷官民共創拠点の活用
5.行政視察のオンライン対応の実施
6.印鑑の原則全廃

そのほか、2020年度は下記の取り組みにもチャレンジしました。
小規模自治体で、少ないプロジェクトメンバーでこれだけのことができたのは、スピーディに意思決定ができたこともありますが、様々な官民共創のパートナーとなる、地域のみなさん、一緒にチャレンジしてくれる企業のみなさんがあってこそでした。

・全職員を対象にした業務量調査を実施
・BPR
・全職員を対象にしたテレワーク研修の実施
・オンライン帰省イベントなど、会えない中での関係人口構築に向けたイベント等の開催
・オンライン視察の受け入れ
・指導案作成、登降園管理、シフト管理、保護者アプリなど保育ICT機能をワンストップでサービスコドモンの保育所への導入
・2つのオンライン審議会の実施(磐梯町デジタル変革審議会、磐梯町官民共創・複業・テレワーク審議会)
など。

別途、これからnoteで各取組の紹介を課題などの裏話も踏まえて紹介していく予定です。
磐梯町では、上記に記載している通り「オンライン視察の受け入れ」も積極的に行なっています。もっと詳細が知りたい!という自治体等の方がいましたら、下記よりお問い合わせください。

また、これまでの振り返りも含めて、佐藤町長、菅原CDOに総括の対談を行いましたので、次回記事で紹介していきます!









ありがとうございます!ぜひ、磐梯町とつながってください!
福島県磐梯町の公式noteです。全国に先駆けてデジタル変革戦略を掲げ、デジタルも手段とした「誰ひとり取り残さない共生社会」の実現に向けてのチャレンジについて、失敗や課題も含めてお伝えします。お問い合わせはHPよりお願いいたします。